サロン#115【労働基準法】ヘアサロン編13/ブラックと呼ぶな!

サロンのこと

〈労働基準法で衰退する美容技術:11〉の続き

美容師は技術職で、職人技を磨く世界です。

「ブラック企業」という言葉は、職人技を磨く世界に対して、言っちゃいけません。これは、一定期間は言っちゃいけないという意味です。

近年、ブラック企業という言葉が広がり、一番痛手を受けたのは美容界を含めた「職人業界」だと思います。

料理界、ホテル業、医療分野は、勤務時間内は接客があります。そのため、技術や知識を高める研修時間の確保はとてもむづかしいとされています。

この労働基準法の壁で「外注」が増えました。

わかりますか?技術の委託です。

「レッスンは残業ですか?」
「残業手当はつきますか?」
「このレッスンは強制ですか?」

このように言われてしまうため、メーカーやディーラー主催の「セミナー」があります。

「ブラック認定されないための苦肉の策」として、定休日にスタッフの自主性に委ねるのです。

本当に、バカバカしい世の中になりました。

職人が修行もせずに何を目指すねん!ましてや技術を見知らぬ赤の他人に教わるなんて…アホか!

まぁ、サロンレッスンをしない人間が、わざわざ休みを返上してセミナー受講をするわけがなく、衰退やむなしですね。

技術が受け継がれるのは、修行の大切さと乗り越える忍耐を、身近で見てきた身内だけかもですね…

いかがでしたか?
このように、時間外労働とパワハラに認定されてしまう職人の世界。

私は、機械化できない技術分野において、日本のすばらしい伝統技術が衰退するのではないかと不安です。

現在、一人娘が美容学校に通っています。

美容師の父親のヘアショーを観てからずっと憧れていたようで、大学受験をやめて美容師の道を選択しました。

美容との馴染みはそれだけではありません。保育園に入れず、サロンの一角をベビーフロアにして、今では考えられない「赤ちゃんのいるサロン」として営業していました。

そして、小学校に入ると学童保育に行かず、頻繁に行方不明者として連絡が入るため、学童を辞めてサロンで過ごさせてきました。

そのため、遅くまでレッスンやコンテストに取り組むスタッフや、盆と正月しか家にいない父親を見て育ってきました。

2025年、フロアにいた赤ちゃんが成人式を迎え、美容学校に通っているのか!と、当時のお客様が驚いておられます。

しかし、技術やセンスは遺伝しませんからね。立派に育つかは、娘本人の姿勢次第です。親の七光りなんて通用しませんし、職人の世界はそもそも甘くない。


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